南稲八妻 ②

さて南稲の写真散歩の続きだ。また路地に入る...左の塀は公民館の敷地である(鍵を管理する町内会の役員以外は住民も入りにくい)。共有地なら1-2m引っ込めてやれば車が入れるはずなのだが...。この路地には数軒のつましい家が並んでいて生活感たっぷりである。

路地の先は突き当りでどこにもつながらない。廃屋の裏になっている。ここで売れていない新興住宅の敷地を通り抜けた。

そうすると元の廃屋となった商店の前に出る。ここでようやく人影が見えた店の向かいの住民が自転車でどこからか帰ってきたのである。

更に別の道を探索する…不思議なものが見えてきた。水道が完備される前の簡易水道時代の防火水槽に「元コック...」「点検...」消えかかった落書きかと思ったが、よく読むと、やはり標語でガスの元コックを閉めようとか、施錠しようなどと沢山の注意事項が書かれている。行政がではなく住民が書いたものだ。

車を停めた寺の横へ行こうとするが、崖の向こうに見えていても道がない。

ようやく小径に隙間があったので(私有地かも知れない)入ってみる。

擁壁の切れ目から見ると、崖の上まで仮設の道が登っているのが分かった。しかしかなり危険な状態である。土嚢が積んである場所はすでに崩壊が始まっている。以前に最初から最後まで記録した如来堂の乱開発と同様のことが更に大規模に行われているようだ。

いちばん傾斜の強い場所はブルーシートと重りで崩壊を防いでいるが、あまり効果的とは思えない。

ともかく道に上がってみると、擁壁の隙間は元々そこから寺の裏側へ擁壁伝いに伸びる道だったようだ。寺は尾根の頂点のあたりに建っている。

隙間を上から見る...寺への裏道は右へ。擁壁ではなく単なるブロック塀である。

少し登って下を見る...仮設の道は下で行き止まりになっていて、左の崖を擁壁で覆う工事に重機を入れるために造られたようだ(現在は工事は止まっている)。元は左の山も、谷の向こう側のような竹藪だったに違いない。この写真を見ても極めて危険な状態であることが分かる。

ともかく尾根の頂上へ上がると焼却炉がある。今は使われていない=こんなところで焚くと現在は消防署がとんでくる。しかし生活感がある。

頂上に1軒だけ家が建っていた。遠目には分からなかったが家の周りは完全に常緑樹で覆われていて分からなかったのである。住んではいない。

玄関側...シャツが干してあり、ある程度掃除もしてある。以前工事をしていたので、その詰所のように使用しているのだろう。もちろんこのように植栽が家をきれいに覆うようなことは自然にはならず、そのように剪定してきたのだろう。

横には物干し台がある。うしろの向こうに建物があるが、外からはほとんど見えない。

崖側に植栽の切れ目があり、そこから見るとかなりしっかりした建物で住宅と言うより事務所のような造りである。中にはテレビなども置いてあり廃屋ではない。

崖から下を見る...細い道が別にあり、今は更地になっているが崖下にもう1軒家があったようだ。なぜこんな不便な谷あいに集落があるのかと思われるが、わが町唯一のマンションの建つあたりの平地は木津川の氾濫で常に水害に合うので、多くの集落は山の麓から高台に延びているのである。

お寺の脇の我が車...私有地なので以前に端っこに停める許可をとっている。ここを見ても分かるが、尾根の頂上付近は元は大きな建物が建っていたようだ。上の建物はその工場か倉庫の事務所だったように思われる。そして今、尾根全体を更地にして崖も擁壁で覆った上で住宅地を造成しようとしているものと想像する。しかし資金難なのか現在工事は止まっている。

summaron 35mmF3.5...F5.6ですべてを撮ったが、その限りにおいてまったく悪くない描写であった。elmar 35mmF3.5と共にもう少し使っていきたい。絶対的な解像力や収差補正では現在の新型レンズに劣後するが、実用画質や「味」ではなかなかどうして良い絵を作る。