Voigtlander CS 35mmF2.5C

コシナのライカマウントレンズとしては最も古いクラス(2000年/29000円)のテストをしてみた。このレンズはPタイプ、P-II(現行品)と、ほぼ同じエレメントで来た超ロングランの名レンズである。

絞り開放でもピントの合った部分は画面の隅でも充分使える画質だ...M9の癖でアンダーになる。少しオーバー気味に撮りたい。 下は切り出し...絞り開放、ここから絞っていくと深度が深くなり画像の締まりも良くなっていく。

 

1m/F5.6/ISO160での撮影、このようなものはピント合わせが難しい(慣れが必要)。風が吹いていて一部はブレている。 下は切り出し...近接でこれだけ出れば上等であり、ここらあたりがロングランの理由なのだろう。背景を軟らかくボカすような撮影以外ではこのレンズで充分と思う。小型で軽量なのも◎。

逆光にもとても強い。F8で南中過ぎの太陽をまともに入れてもほとんど大丈夫だ。まだ(たぶん製造は止まっていると推測)P-IIタイプは33000円ほどで売っているので試してみるのが良いだろう。

COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 P II

 

LIGHT LENS LAB 50mm f/2 Rigid-SPII ②

LIGHT LENS LAB 50mm f/2 Rigid-SPIIの晴天時でのテストで問題が見つかったので記す...条件によるので「絶対」ではない。

晴れ(斜光線)、ボディはLeica M10、上はF2.8、先の曇り日でのテストよりコントラストが上がり完全に実用できる(開放F2ではややハイライトが滲む)。F4-F5.6と更に画質は良くなるが、下の画像のF8になると画面の中央部に白くフレアが(白くなる)出始め、F11-F16ではよりはっきりする。曇りのテストではそのようなことはなく、結局はフードをしていないため横からの光線が影響を与えたものと考えられる。小絞りで目立ってくるのはレンズ前群での面間反射が大きいためか、絞り羽根の反射が大きいのか、オリジナルのレンズエレメントを、より小さいズミクロン鏡胴に入れたためか、いずれにせよフードは必携(Leica純正標準フードが付けられる)で、フードなしの場合はF5.6で止めておく方が良さそうである。なお斜光線ではなく普通の画面近くに太陽のある場合ではこのようなことが見られない。筆者の経験では初めての現象なので当惑しているがF2.8-5.6で撮れば問題はないので、取りあえず手持ちの12585フードを付けた。

 

Voigtlander NOKTON Vintage Line 28mmF1.5 Aspherical Type I

毎日曇っているのでちゃんとしたテストがかなわない。取りあえず大曇りでのテストを出そう。

絞り開放F1.5からほぼ使える画像だが周辺光量落ちが大きく↑のようにF2.8でほとんど気にならないレベルとなる。画質も完了と云っていいだろう。あとは絞っていくと少しずつ画質は上がるが、それは等倍で見た場合であって通常のモニターでは分からないレベルである。

上の中央部の切り出し...まず問題なし(F2.8)。天気が良ければ更に切れ味が出てくるだろう。Voigtlander CS28mmF2.8の開放より1段上と云える。今度Voigtlander ULTRON28mmF2-ASPHのF2.8と比べてみよう。

こちらはいつもの1m/F5.6での撮影。

中央の切り出し...風によるブレが一部に見られるが、まずこれも天候を考えると合格である。今度は晴れた日に撮影をする。コシナのワイドレンズ28mm(これが私の常用画角)はほとんど持っているが、性能はだんだん良くなり本家を抜いたようだ。

 

浄瑠璃寺へ

岩船寺から山ひとつ越えた浄瑠璃寺へ寄る...裏山の道を歩けば20分で着くのだが地道なのと草が生い茂っているために雨上がりは歩けない。自動車なら車道が遠回りとなるため(やはり道は細い)10分程度はかかる。こちらは観光客はぐっと少ない。

参拝客が少ないにも関わらず参道の両側に食堂や茶店があり、なんとか商売を続けている。馴染の食堂で昼ご飯を食す。

参道には夏草が茂っているが刈りこむ様子はない。あくまで自然を取り込んだ風情なのである。

しかし道の両側にはそれなりに植栽を作っている。季節季節で色々な花が咲き、秋になれば紅葉していく。

境内も地味のひとことで、観光客の少なさもあり落ち着く。

国宝の本堂前に大きな蓮の群落があり、梅雨の風情を醸し出している。

そして本堂前正面には虫食いだらけの芙蓉が植わっているが、殺虫はしない。あくまで自然体で放っておく、あと1ヶ月ぐらいでたくさんの花が咲く。

本堂の端で例によって猫が寝ている...国宝の上での贅沢な昼寝である。

陽のあたらない場所では羊歯が繁茂している...もちろんそれとなく手入れされての群落である。

重文の三重塔、さすがに完全な逆光では賑やかにフレア・ゴーストが出るが、これで良いのである。

三重塔から本堂を眺める。さていつになったら本堂の障子を開けて、ここから九体仏を拝ませてもらえるのだろう。

暑いので午後3時、帰り支度を始める。参道の土産物屋もそろそろ閉店するようだ。

m4/3を見直した...かなりリアリティな絵を出すことが分かった。情報量という点では35mm判にかなわないが、リアルな雰囲気は思ったより良いと感じた(もちろんピーカンなら△になる)。思わず便利な小型ストロボのスペアを発注した=LUMIX GX8はシルバーも持っているし3500円程度なのである=FUJIFILM X-T1にも同じようなストロボが付いていたが、各社このような簡単で小型のボディ給電の製品を出してほしいものだ。

 

岩船寺へ

梅雨の合い間、昨日近在のアジサイ寺の岩船寺に行ってみた(毎年恒例)。毎年行く必要もないだろうと思われるが、近いせいだけではなく「変化」を記録し続けるのである。同じようだが10年20年と経つと変わっていくものなのである(私は40年以上見ている)。ここも年々観光に力を入れている。幟は去年からあったが手作りの看板は初登場だ。右奥が山門。

山門直下、新緑が美しい。この寺も戦乱で焼けて元の伽藍は縮小して、山門も小さなものになっている。

山門脇の拝観料志納場...観光客は不便な土地柄としては多い、たぶん「花の寺」の名がいきわたったのだろう。隣の浄瑠璃寺より外国人観光客が多い。

境内に入り、すぐ左の不動明王へ。岩屋は後世に造られたものだが、中には重文の不動明王が安置されている。そして周りには特別に手入れされたアジサイが咲く。この日は天気予報に反して晴れたり曇ったりの写真撮影にとって絶好の天候となった。

更にその横には、やはり重文の五輪塔が建っていて、以前より苔や地衣類の量が増えていた。

そして本堂前の景色、向こうはやはり重文の三重塔で、手前にはアジサイの大植栽である。これは年々品種や量が増えている。アジサイの向こうは昔は見えていた蓮の池があるのだが、今はアジサイに隠れて横に回らないと見えない。以前はこのあたりに三脚を立てて場所取りをして良い光を待つ人々がいたが、ついに寺が「場所取り禁止」の貼り紙を出したので、そのような人は居なくなりベンチが幾つか置かれて、この景色をジックリ眺められるようになった。

蓮池の畔...ここでも最近流行の見せ方があった。しかし散見するとここだけで、昔ながらのじか植えか植木鉢植えで、その方が良いと思う。

蓮池横の重文十三重塔、これも安泰のまま建っていた。屋外なので劣化や災害が心配なのである。

やはり先週あたりが(先々週は生駒の長弓寺)良かったようで(雨のため延期)花の色が褪せていた。

ここでの見もののひとつである、境内の山を登って上から三重塔を眺めた。狭い谷に堂々と建っている。そろそろ修復も考えなくてはいけないだろう。

山の散策路(これが悪路で歩きにくい)を巡ると、だんだん下に降りていく。秋には紅葉が奇麗になる。

門前には以前は何軒か食べ物屋があったが、後継ぎがなく皆廃業となり、観光シーズンだけ臨時の店が出て地元の産品やうどん程度の軽食を出す。ここの草餅は美味しくすぐに売り切れるため来た時に買っておいた。このあと隣の浄瑠璃寺へ向かう。文化財撮影に使ったセットを長弓寺に続き今回もこれで通した。使いやすいがUIに慣れないため設定変更に時間がかかった。LUMIX GX8 G VARIO 12-32mmF3.5-5.6

 

LUMIX GX8 G VARIO 12-32mmF3.5-5.6

久しぶりの更新=5月の連休明けから1ヶ月半、特別に忙しかった。6回にわたり民俗調査(撮影)を敢行したのである。狭い収蔵庫や屋敷の蔵などに潜り込み無理な姿勢での撮影であった。プレスリリースがまだなので撮影内容は出せないが、特殊な状況での撮影について記そう。暗い場所での撮影なのでストロボは必須で、しかも外付けの大きなものは使えない(狭い場所に入れない)ので、まずはストロボ内蔵のNikon D750+AF Nikkor 24-85mmF3.5-4.5Gで開始...内蔵ストロボはいいのだが、しゃがみこんでのファインダー撮影は不可能なのでLVに切り替え、腕を伸ばして撮影...三日間で腱鞘炎の症状が出た→重い・チルトモニターなので自由度が低い・レンズの被写界深度が低いetc...次は軽いCanon G1X-2(1.5incセンサー)にしたら、やはりチルトモニターなのとストロボがレンズ光軸上ではないため近接の際影が不自然に出る。そこでLUMIX GX8+G VARIO 12-32mmF3.5-5.6の登場となった。1.軽くて小型 2.バリアングルモニターのため縦横斜め、いずれも楽に撮れる 3.純正ストロボは外付けながらボディ給電の小型のもので(近接なので光量は必要ない)ほぼレンズ光軸上にある 4.レンズも小型軽量、被写界深度も深いため近接時に有利であるし、12-32mm(24-64mm画角)はこの手の撮影ではベスト ...と云うような訳で撮影後半は楽で確実なこととなった。m4/3のセンサーサイズは使わないと思っていたがまだまだ必要性があることと思った。レンズは少々チャチにできているので(撮影結果に支障はないが、沈胴ズームのリングにガタが出始めた)もう1本購入したのが下のブラックタイプである...これも先週、久米寺・岡寺・長弓寺で使ってみた(なんでもまずはテストである)。唯一の難点はボディハーフケースが純正であるにも関わらず、バッテリー交換時にケースに引っかかり蓋が開きにくかったことぐらいである(些細なことだが、これは慌てる...)。

私はたくさんのマウントのボディ・レンズを持っているが、使う過程で性能や使い勝手で、ある撮影状況の専用にしているものが多くある。読者の皆さんも考えて欲しい。

 

LIGHT LENS LAB 50mm f/2 Rigid-SPII

昨日到着したLIGHT LENS LAB 50mm f/2 Rigid-SPII(周50mmF2と呼ぶことにする)を曇天の中、簡単テストをしてみた。summicron 50mmF2/1st後期型に似せた鏡胴に下記のレンズエレメント(これも昔のレンズの復刻)を入れたもので、多少レンズが長くなり間延びした印象だが「範囲内」だろう。

こちらがオリジナルのsummicron 50mmF2/1st後期型。

上はオリジナル復刻版。下はメーカー(あるいは代理店)の能書きである。

  • LIGHT LENS LAB 50mm f/2 Rigid-SPII(愛称:周リジッドSP2)は、1956~1968年に製造された "Summicron 50mm F2 1st Rigid" の後期型を再現した鏡筒と、1940年代の名シネマレンズ "Speed Panchro Series II 50mm F2" に近い光学性能を備えた標準単焦点レンズです。
  • 【精密感のある美しい鏡筒】愛好家から高く評価されている "Summicron 50mm F2 1st Rigid" のコンパクトで美しいデザインを再現。絞りリングの心地よいクリック感、緻密なローレット加工や指標の刻印、カチッと止まる無限遠ロックなど、加工精度の高さと上質な操作感を味わえます。鏡筒は耐久性に優れた真鍮製で、小型ながら重厚感のある存在感となっています。
  • 【名シネマレンズの描写を再現】著名なハリウッドスタジオで愛用された1940年代のシネマレンズ "Cooke Speed Panchro" シリーズの卓越した映像表現を再現。5群7枚の伝統的なダブルガウスタイプの構成と、ランタンフリントガラスを使用したレンズを採用し、オリジナルに近い光学性能を実現しました。現代のレンズとは一線を画すユニークな描写により、あらゆる撮影で個性を発揮できます
  • 対応マウント:Mマウント / 焦点距離;50mm / 対応撮像画面サイズ:35mmフルサイズ / 最短撮影距離 / 0.7m / 絞り:F2-F22 / サイズ:Φ43.2 x 45.5mm / 重量:約250g

私は映画用レンズに詳しくないが、どうやら名レンズだったようだ。オリジナル復刻版はデザインが不興だったのか(私もその理由で見送っていた)最近にsummicron 50mmF2の鏡胴に入れて発売した...シリアルナンバーは123/998となっているが、おそらくオリジナルと通しの番号だろう。価格を考えるとそんなに売れるはずもないからだ。

さてテストだが、中間距離では絞り開放F2では少し苦しく、F2.8で合格の範囲になり、周八35mmF2/周ELCAN50mmF2と異なり、1940年代のレンズを多少改良したもので安心して良い。更に絞ると少しずつ画質は上がるが、極端なことはなく深度が深まるのみで画調はあまり変化がない。シネレンズとして優秀なのはこのあたりだろう。 下は切り出しで天候を考えると十分な写りであり、レンズ構成枚数の少ない(4枚玉)の周ELCAN50mmF2よりヌケは悪いが(こちらは7枚玉)解像度は高い...何よりシネレンズ、描写が軟らかくボケ味が50mmとしてはたいへん良い。Leicaのレンズと混ぜて使っても遜色はないだろう。

 

ISO160/1m/F5.6での撮影...天候のせいもあるだろうがやはり軟らかい描写である。ボディをM9にしたのは一番多く使っていて特性を熟知しているからで、更に画質を上げたいならM10やM10Rにすればよい。しかし慣れだけではなく、どうしてもM9が良いと感じてしまうのである。 下は切り出し...50mmの近接となると深度が浅くなりピントの合う範囲は少なくなる。しかしこれも良好な結果である(特にボケ味)。

 

 

Tokina AF20-35mm3.5-4.5

多忙につき更新できなかったが、今日は大雨アトリエに缶詰めとなる。そこで先般5,500円で購入したフィルム時代のTokina AF20-35mm3.5-4.5デッド品(撮影は来てすぐしていた)を見てみよう。コンパクトで軽く実用的には良さそうな感じである→当時のトキナーレンズはレンズ先端がオレンジ色のラインで、現在の金線よりは良いと思う。

20mmF5.6、開放f3.5では甘くて使いものにならず(特に周辺)、最低F5.6、できればF8で撮りたい。しかし大曇りの条件で思ったよりはよく写る。 下は切り出し、まず合格だ...晴れればコントラストが上がり更に見栄えがするだろう。

 

次は35mmF4.5...開放から使える写りだ。SONY α900のAWBのためだろうが温色に寄る。  下は切り出し、20mmより良い。

 

35mmf4.5近接、これも良好(ただし後のレンズに比べるとAFは遅い)。 下は切り出し、まずまずといったところだ。

しかし周辺部を切り出すと、最近では見かけなくなったコマフレアが盛大に出現する...蝶がとんでいるような白いフレア。昔のスーパーワイドズームの限界なのだろう。でも絞りを開けて周辺が流れたりコマが出たり、中央がしっかりしておれば面白い絵作りになるのではないかとも思う。

 

例によって20mmF5.6/1mでの撮影...樽型の歪曲が見られる。これは明らかな欠点で直線的なものを含む被写体では要注意だろう。  下は切り出し、さすがにボケ味は良くないが、ピントや立体感は現代のレンズと変わらない。35mm判フルフレームの余裕でもある。

35mmF5.6での近接...周辺部を見ると深度はずれの後ボケに収差ボケが混ざって使い方によっては面白い(elmar 35mmF3.5などと同じ)だろう。

 

Tokina AT-X PRO20-35mmF2.8

テストした...20mmF2.8ではやはり厳しく中央以外は甘い。F5.6にはしたい(この写真)。レンズ側のCPUの問題で全体に明るく記録される(補正範囲/-0.7)。つまりボディ側でF5.6にしていてもF4程度にしか絞っていないことになる。当然ながら絞り開放なら適正に写る。絞り優先AEで撮るべきだ(F5.6-11)。  下は切り出し...2006年という年代を考えるとこれで精いっぱいだろう=もちろん許容範囲内だ。

 

こちらは35mmF4での撮影、20mmより結果が良く、絞り開放から使える。 下は切り出し...充分な画質である。

 

逆光撮影...やや派手なゴーストが出るが年代を考えると良い方である(20mmF8)。

35mmF5.6/70cmでの近接撮影...50cmまで近寄れるが、最短に寄るとピントに迷いが出てくる。切り出しを見ても画質は中間距離と同様問題なし。

いつもの20mmF5.6/1m撮影...この時代、近寄ると収差の出てくるレンズもあるが、このレンズは大丈夫である。 切り出しをしても繊細さには欠けるが、質感描写は良好である。

20mmF8...このような特殊な条件では「昔のレンズ」となる。逆光撮影は注意しよう。太陽を中央には置かないこと、暗い環境で太陽をまともに入れないこと...私はあまりゴーストは気にならないが。

デジタルカメラ・レポート」に書いたことの追加と訂正...AF/AEの切り替えスイッチはないがピントリングを前後に動かすことで切り替えをする。面白いのはインナーフォーカスのため(当時としては進んだ機能)AFにしたら完全にリングは切り離され、どこのcmでも働かない=つまりはAFでの微調整は不可能だということだ。もうひとつ気の付いたことはAFでピントの合った瞬間「ピン」という微かな音がすることだ...ブレーキ音か。

 

SIGMA 17mmF4 DG L ②

今日の夕刻、天気が良くなったので再撮影、半日陰ではあるが実力を測るには十分だ。 下は切り出し...F5.6/AWB撮影、周辺はやや甘さが残るが画面の大部分は良いピントが来る。

逆光撮影を2枚(いずれもF8)、上は暗めの場所で太陽を入れているが、僅かなゴースト・フレアである。 下はまともに右上から陽光が入っているがピントを合わせたツツジはびくともしない。ゴーストやフレアと云うより光芒が目立つレンズと言えよう。いずれにしてもSIGMAの以前のレンズはピント勝負で、しかしフレアが出やすく気難しい面があったが、artやcontemporaryとなって良くなったと思う。