梅雨の合い間のエルマー

梅雨の合い間、この組み合わせで近所散歩→車で5分、集会所の駐車場に停めて1時間の散策だ。暑くてこれが限界。elmar 35mmF3.5+Leica ME 220、なかなか良い(手強い)組み合わせだが、80年近く前のレンズとは思えないぐらいの写真が撮れる。

川の氾濫に痛められた歴史があるため民家は高台にある。坂を上ると、ここでも廃屋が見つかる。車のナンバーが付いたまま敷地の中に草むしている。自動車税を払い続けているのかと余計な心配をする。

カメラを右に振ると母屋だが、見るたびに山に飲み込まれていく。エルマーはなかなか良い描写だと思う(F6.3)。

丘の上に上がると地区の中心部だ。国道から見ると小さな集落に見えるが奥行きがあって細かな谷や尾根が入り組んで、かなりの広さである。正面は村の檀家寺「極楽寺」である。敷地は狭いが住職一家が住んでいて無住ではない。

またカメラを右に振ると谷に沿って山の頂上近くまで家が建っている。複雑に道や家屋が並んでいる。

等高線上を歩いて寺に到達する。尾根の先端部なので見晴らしは良いが境内は狭い。右は本堂、左は谷底まで続く本来の参道の石段だ。

左のお堂の中を撮影(禁止ではない)...暗い堂内をSS1/8で撮影、AWBはともかくとして手振れはない。Leicaを積極的に使い始めて勘が戻りつつある。このあたりは歴史も古く戦災も受けていないために小さな寺でも寺宝は多くある。

鐘撞堂横のナンテンの花、これが赤くなっていくのである。深度はずれの背後ボケと収差ボケが合わさって背景は軟らかくなる。

鐘撞堂横は狭い墓地である。向こうは絶壁、崩れそうな場所で墓石も傾いているものも多い。これも魅力的な描写である=F8でも背景はボケる。

また来た道を帰る、車はもちろんバイクでも通れない。寺には車は入れないため荷物はここから台車で運ぶ(石段は到底無理)。

寺の敷地にはちょっとした庭があり(自給用の畑もある)、可憐な花が季節ごとに咲いている...やはりエルマーのデッコマヒッコマである。

尾根伝いの道をトラバースして(!)集会所方向へ戻る。山田川河岸段丘に家は建っていて道は段々の切れ目についている。

また廃屋と遭遇...ここは国道163号線(元の伊勢街道)の宿場も兼ねた山村だったが、地主の家を除いて地区の家は少しづつ無住となっていく。

elmar 35mmF3.5の最も弱い写真...平板な被写体の場合、中央はピントが来るが周辺に向けて解像力は低くなる。

例の帰化植物が繁茂している場所が増えている。ここの村では山の方で養蜂もしているので、この花の花粉や蜜を蜂が集めると「雑味」が混じるので、刈ってはいるのだが刈ると日当たりが良くなり、他の植物より強いため余計に繁茂する傾向があるようだ。

お屋敷も多い。修復をなされた蔵もいくつもある。見た目は新築のようだ。さてelmar 35mmF3.5を存分に楽しんで1時間、そろそろ帰ろう。立体的な景色はelmarは使えるし、味もなかなか良好だ。