Canon 35mm/F2.8S-typI

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今日はまたオールドレンズの実験である。1951年発売のCanon 35mm/F2.8S-1stモデルである。フードも当時の純正でシリーズフィルターを挟んでレンズ先端に取り付けるようになっている。当時のLeicaではsummaron 35mmF3.5だったので、いかに戦後復興期の日本(もちろんドイツも敗戦国)でCanon等がハイスピードレンズを開発していたのかが分かるレンズの1本である。仕上げもLeicaに比べても決して劣るものではない。1947-1953年頃までは(概ね輸出用)Serenarブランドで売っていた…しかし私のレンズはCanonブランド名で両方が混在していたようだ。おそらく国内向けがCanon/輸出用がSerenarか?国産のLeicaマウントレンズには輸出されて、2000年前後の「ライカブーム」の頃に里帰りしたものも多いと聞いている。 

Serenar 35mm F2.8 I

CANON 35mm F2.8 II  タイプIIとなってデザインは今風に一新されたようだがレンズ構成(ガウスタイプ4群6枚構成)は同じである。ただしコーティングも今風に改良されている。これもいずれ実験してみよう。

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さて絞り開放F2.8/ISO200/Leica M-E.220での画像…この画像で見ても分かる程度に中心部を除いて収差ボケが著しい。一瞬レンズが曇っているのかと(Canonの古いレンズは曇りやすい=風説ではない)思って確認したぐらいだ。周辺光量/色味は大丈夫だ。

右側を切り出した…このとおりである。実用にはならない、あるとすれば中心に対象物を置いた近距離撮影ぐらいか。中心はまずまずなので、背景のアウトフォーカスのボケと収差ボケが合わさってボケが大きく見える。

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二段絞ってF5.6とすれば、完全に実用の範囲となる。70年後の今レンズとは単純に比べられないが、更にF8にすると差は分からなくなる。文句なしに優秀レンズである。私の実用絞りはF5.6-8なので結局は「使える」と言うことになる。ちなみにF4なら上の両者の中間程度である。

上のF2.8画像と同じ部分を切り出した…切れ味抜群とは言わないが、使える範囲で中心から中帯部までは(画面では瓦の左側あたり)現代レンズと変わらない。目がチリチリするようなピント(コントラスト)より解像力優先のこの時代のレンズの方が軟らかくなって良いかも知れない。

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逆光で…古いコーティングとしてはかなり良い方の結果である。もちろん光源が低くなれば完全にハレることだろうが、通常の逆光なら大丈夫であろう。

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