さて最後はCanon 50mm/F1.8Sである。これだけがF1.8で良さそうに見えるが、当時の(その後も長く)雰囲気で「少しでも明るい」だけで購買意欲が湧くような傾向があっただけで、実際にはF2と変わらない。仕上げは3本とも負けず劣らず丁寧で高級感がある(真鍮にハードクロームメッキ+各リングで仕上げを微妙に変えている)。きちんとメンテナンスされた固体は現在のコシナなどのマニュアルレンズと同等かそれ以上の使用感の良さがある。
やはりF4...絞りを開けた状態では前2本より像に締まりがない。更に絞れば皆似たようになるし、現代レンズともそれほど変わらない性能と思われる。
切り出し画像…その少しの甘さがこの写真のレベルでも分かる。
絞り開放での左上の切り出し…これは意外にもNIKKOR-H・S 5cmF2の同じ画像より良い。深度外れのボケに収差ボケが見られない。このように絞りを開けたときにはレンズによって真ん中が良かったり、周辺が勝ったりと癖が違っていくのである。
Canonは1940年代から1960年代までライカマウントレンズを造り続け(カタログには1970年ぐらいまで載っていた)50mmでは、F3.5-1.8-1.9-2-2.8-1.5-1.2-1.4-0.95など(しかも各々タイプIIやIIIも登場)多種のレンズを20年ばかりの間に作りつづけた。一眼レフ全盛になって消えてしまったが、特にレンズに関してはLeicaに1950年代末には追いついていただけに惜しいことであった。
Canon 50mm/F1.9...古い世代のCanon-Sレンズではビカ一だ。