姉 三 六角 蛸 錦

革堂から六角堂まで京都の格子状の径を右に左に下がっていく。「姉 三 六角 蛸 錦」姉小路三条通六角通蛸薬師通・錦小路…京都の俗謡に歌われた道々を歩いたのである。表通りはすっかり他の都市と変わらなくなったが、中の通りはまだまだ私の若かった(つまり50年前)頃の風景が残されている。まずは古書店が二軒、なにやら専門書や古文書を取り扱っているようである(普通の古書店はもう成り立たない)。

車庫のシャッターも何年も開けられていないような感じだ。

そして古い民家を改装したカフェ(茶店と言うべきか)と、隣の壊された家、ここはいずれ小さなマンションになると思われる。なんともちぐはぐな景色が続く。

古い民家を改装したオシャレな(しかし何を商っているかは不明)店もあったり…

その近くには今だ操業している紙箱製造会社もあった…木造の民家風のようにも見えるが、確かに中で機織りのような音がしていて、まだ作っているのである(おそらく高級な和菓子や装飾品の箱)。

紙箱屋さんの向かいは「上小澤歯科医院」の石碑の建つ駐車場がある。おそらく以前は歯科医院だったのだろう。石碑の古さとガレージの新しさから見て、記念碑ではなく道標のようなもので、駐車場になるときに残されたものだろう。古いものと新しいものがモザイクのように街にかぶさっている。

「うなぎの寝床」…上の2枚の写真も元はこんな感じだったと思われる。間口が狭く、通りに面した部分は店に、奥は住居や時として貸家だったり…私にとっては京都の景色はこれである。まだまだ歩く。