二眼レフ

三つの中判カメラの条件=1.操作性が良く、迅速・確実に取り扱える 2.35mm判のレンズに近い描写性能 3.小型・軽量しかし堅牢。

偶然に理想の中判を求める気持ちが頭をもたげる機会が訪れた。友人がローライフレックス2.8Fプラナーを購入したのである。その機械としての完成度と美しさには惹かれた。しかるのち同じローライ2.8Fクセノタールを入手し撮影を開始する。先ほど述べたフィールドカメラの三つの条件をかろうじてではあるが満たしており、どうした訳かレンズ交換ができない事も6X6判の場合はさほど気にならないため障害とはならなかった。縦横がないのがやはり使い易さの原因だろう。そしてブロニカやハッセルのような構えたとき前へ出る形ではなく、二眼レフは体に密着し(コーワ6も同じ)、カメラとの一体感が良いと感じられる。これはミラーショックの無さと相まってライカと同じくアベイラブルライト(限界微光量)下での撮影に向いており、また撮影の瞬間も被写体が消えず写った瞬間が見える点もライカと同じで、手持ち撮影のフィールドワークには最適である事に気が付いた。つまり整理すると、1.比較的軽くコンパクト 2.操作が簡単 3.スローシャッターが切れる 4.縦横がない 5.丈夫...これは複雑な内部構造を知った今、少しの不安を持っている 6.ライカとの併用に向いている 7.少し外れるが素晴らしい仕上げで、持つ喜びが感じられる等あらゆる点で私の撮影目的にかなったカメラである事が分かった。どうして各メーカーは戦後ブームとなった二眼レフの生産を止めたのだろう?いやメーカーはユーザーの要求を受けて開発するのだから、どうして写真家は求めなくなったのだろう。以前の二眼レフの欠点は今の技術をもってすれば更に完成度の高いものが期待できるはずである。私もそれまでは過去(戦後すぐの大流行)のカメラで時代遅れと思い、候補として考えもしなかったのだが…。ローライ2.8Fはかなり撮影し、ただ一点を除いて大満足であった。しかし、その一点が最後に越えなければならない、そして今も解決されない大問題(なにせ新製品はなく中古の中から選択せねばならない...これは2001/3にローライ/駒村商会からFXとワイド、テレの3種の新製品が出ることになった)である。クセノタール80mmの描写に癖があり、確実に思い通りの結果が出ないのである。開放付近では像の緩みがあり中心部以外は甘く、絞るにしたがつて周辺部まで均一になるのだが、中央部のシャープさはほとんど増さず、さらにf8以上になると四隅に放射方向の流れが目立ってくる。コントラストがやや低く、よく云えば軟らかい描写と言えるのだが、実際の解像力より低く見えてしまう。おそらく残存収差がかなりあり、それにフィルムの平面性の保持にも問題があるのではないかと思う・・・ただしローライの名誉にかけて付け加えるが、ここで言う問題点は厳密な意味であって一般的に見て使い物にならないのではない事は当然である。

ともかく惜しい。そこで色々な二眼レフの探索が始まる。

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まずマミヤのレンズ交換式の物を除き一番最後まで生産していた「新しい」ヤシカマット124Gの新品同様の物を購入した。これは露出計内蔵で80mmf3.5のテッサー型レンズが付いており、操作性はローライコピー機二眼レフはほとんどが多かれ少なかれローライの影響を強く受けたコピー機と言えよう)らしく、作りや動きが少々安っぽいだけで使いやすく良好。描写は癖もなく悪くないがプロニカほどの性能ではなく(絞らないとダメ)、ピント板のフレネルレンズの作りが不良で極めてピント合わせがしにくい。また精度の不足からかピントリングの無限遠が合わず、無限遠に合わせるとピント板上は通り過ぎてしまう。ただしピント板であわせると実写と合っているので救われた。撮影レンズと見ているレンズが違うので当たり前と云えるが、レンジファインダー機と同様、二眼レフでは撮影レンズとビューレンズのピントの位置がずれる事が結構多く、この後友人がアメリカで買って来てくれたミノルタオートコードの輸出モデルは124Gと逆にピント板上は合っているのにフィルム面では大きくずれていた事もあった。そのような理由でだろうが上下のレンズは比較的簡単に出したり引っ込めたりの調整ができるようになっていて、このオートコードも調整でなんとか使用可能となった。