次にコーワからブロニカSQ-Aと50mm、80mm、150mmのセットになった(+中間リング、ポラパック、6X6マガジン2個、35mm判マガジン1個)。ブロニカがレンズシャッターになったこととハッセルとほぼ同じ大きさになり携帯が楽になったこと、なによりコーワが生産を止めたため部品やメンテナンスに不安が生じ始めていたことが理由である。ただし写りはなにほども変化はなかった。強いて云えば、くわしくは今解説しないが望遠はブロニカ、標準は同等、広角はコーワが良かった。しかしSQ-Aも2-3年たまに使った程度で、売りこそしなかったがお蔵入りとなった。今度の理由はかなり明確で本質的な問題をはらんでいることである。第1にカラーリバーサルしか撮らなくなったので操作や機構の複雑なマガジン交換式は不必要になったこと。第2にレンズの性能を厳しくチェックすると35mm判に比べ、フォーマットの大型化における画像の高密度化の効果はあっても、スライドを同じルーペで(ちなみにルーペ自身の性能に問題を感じ、\23000もするニコンのX8のアクロマートルーペに替えた)つまり同じ倍率で見ると(35mmの全体と6X6の中央部を見ることとなる)35mmに比べると中判のレンズはコントラストは同じぐらいとしても解像力は結構落ちることが判明した。これはハッセルのツァイスレンズも程度の差こそあれ例外ではない。周辺部にいたってはある程度絞らなければ格段に像が落ちる。極度に発達した35mm判のレンズの優秀さは特筆できる。大昔ミノルタのMCレンズと中判用のレンズを比べた時はこんなに差はなく、中判更に大判の効果の絶大さを思い知らされた記憶があるのだが…。第3にフィールド写真しか撮らなくなったので、とにかく小型で軽量、操作性の良さが中判カメラに求める第一の条件になったことである。かくしてこの辺から理想の中判をもとめた流転の時代が始まる。
標準レンズ付き…標準レンズはどこのメーカーのどの製品でも同じような優れた性能を持っている。このカメラのセットは今も新品同様、保管庫に当時のまま眠っている。最後に使ってから30年以上経っているかもしれない。
50mmレンズはF8以上に絞れば、それなりの画質となり問題はないのだが(ワイドは深度が深くなり、より絞り効果大となる)絞りを開けたときが芳しくないのである。