NIKKOR AF28-85mm/F3.5-4.5

また古いレンズの登場である。これも資料がほとんどないレンズで、偶然に筆者が22年前にFM3A+micro55mmと共に買った下記レンズ(28mm始まりの当時の人気レンズ)と同じスペックだったため、一昨日のNIKKOR 28mm/F2.8同様、AF時代になって慌ててAiレンズをAF鏡胴に入れたものと考えた。見た目は違うがスペックだけでなく、長さやレンズの重さ、ワイド側でのみハーフマクロとなる機構など一致点が多く、実際に並べると同じレンズのAF無印版と断定できそうだ。オリジナルの510gより更に重い540gのフルメタルのレンズである。このレンズも不思議に使われた形跡が少なく(しかし保管が悪く来たときは汚かった)無水アルコールとシリコンクロスで新品同様となった。当時10万円ぐらいのレンズが5000円だ。

AI Zoom Nikkor 28-85mm F3.5-4.5S - マニュアルフォーカス

まずは二階から写す…描写の問題だけではなく、古いNIKKORではCPUの動作も確認しないといけない。フィルム時代のレンズなので軽めの絵になる(良い感じ)。ワイド側28mmでは絞り開放F3.5では周辺光量が落ちるため、一段絞ってF5での写真を掲示した。ボディはD610。昔のレンズらしく絞り開放では中央を中心に細密に、そして絞るごとに周辺まで良くなる(推奨はF5.6-11)図式である。Pモードで気楽に撮るのが良さそうに思われる。下は切り出し画像、F5で何らの問題もない。

こちらは望遠側85mm/絞り開放F5.6での絵…やや明るくなるのはボディ側の評価測光のせいだ=私はAFは1点測距、AEは評価測光、どちらもマニュアル操作は一切しない、更にテストや特定の目的時以外はプログラムモード&ISOオート撮影、とにかく速く撮ることに専念する。戸外での撮影が主なので絞りは自動的にF5.6-11程度になる。さて中央部を切り出すと、ワイド側より更に軟らかいが細かな描写だと分かる。現在のズームレンズはワイド側に重点を置いて設計されていて、望遠側は多少落ちるものなのだが、昔は(もう20年数年前になる)そうとばかりは言えなかった…そもそもワイドは周辺はほどほどで良いが、標準~望遠は隅まで良く…という風潮があった。その代わりワイドレンズは樽歪曲を極端に嫌うという意識もあり、レンズだけで収差補正をしていたフィルム時代のレンズ設計者には頭が下がる。

そしてF5.6/28mmでの近距離撮影…曇ってきたためコントラストが低くなっている。オリジナルと同様、最短撮影距離は80cmと近寄れる限界近くである(マクロモードなら23cm)。切り出すと、やはり予想どおり近距離では解像線が甘くなっている(もちろん実用の範囲だが)。当時の技術では28-85mmの一般撮影での性能をクリアして(その時代としては高倍率)80cmが近接の限界だったのだろう。28mmマクロモードのテストはしない。最短80cmではどうしようもない花や虫などの接写の時の救済モードなのだろう。