NIKKOR 28-80mm/F3.5-5.6D <NEW>

長く探していたNIKKOR 28-80mm/F3.5-5.6D/1st(7枚玉)の程度の良い個体を入手できた。先日Canonのフィルム時代末期の安価なキットズームの渉猟を終えて、運良くNikonについても終了した。NikonCanonと違ってタイプ1とか2とは明示せず改良し、結果として同じ名前の別レンズが存在することがある。このレンズはその典型的な例で、1995年に安価なズームレンズ(当時はCanonNikonだけでなくPENTAXやminoltaその他が販売・開発を競っていた)を初めて28-80mmで出した。上の写真では仮に1stと呼んでおく。そしてその改良型として1999年にNIKKOR 28-80mm/F3.5-5.6D<NEW>として8枚玉のレンズをリリースした。<NEW>と言うのは商品名ではなくて1stから改良されたと区別する意味で書かれたもので、製品名はNIKKOR 28-80mm/F3.5-5.6Dである(上の2nd)。レンズ構成も大きさも変えた「違ったレンズ」でもNikonではそのような扱いになることがある。外見での違いはフォーカスリングが広くなり、レンズ長が長くなった程度の差である。長くなったからリングが広くなったのかも知れない。次の世代のNIKKOR 28-80mm/F3.3-5.6G(6枚玉)では、やはりレンズ長が短くなりリングが狭くなっている。この手のレンズはMFで使うことはめったになくて、頻繁に使うズームリングの大きさは変えたくなかったのだろう。

下はNIKKOR 28-80mm/F3.3-5.6Gレンズ/2001年。ここから先はデジタル一眼レフAPSカメラ用の18-50mmクラスに競争は移った(Canonは28-80mm/Vまで)。

 

絞り開放F3.5で撮影…予想通り2ndより少し画質が低い。実用的に問題のある差ではない。Canonが9-10枚構成として収差を取ることを優先させ、Nikonはレンズ設計者も語るとおり6-8枚構成でヌケを良くしてコントラスト重視の戦略をとったのである。結果はその通りでデジタルにすると解像力のCanonコントラストのNikonと言う結果がよく見えてきた。下は中央部切り出し、コントラストが高いと見た目が良く見える。条件を合わせられないためここでは出さないが、8枚玉の2ndモデルでは解像力を増している。

 

80mmF5.6絞り開放…こちらははっきり2ndやCanonの各28-80mmより画質は低い。とは言え下の切り出しを見る限り悪くもない…つまり古いフィルム時代の3000-4000円のレンズ(当然フルフレーム)で現在の35mm判FFボディで撮ったものと、今のAPSデジタル一眼レフカメラで撮ったものと比べると、多くの場合前者の方が使用上(印刷やプリント)良いと考えている。ミラーレスカメラは小型化というメリットがあるが一眼レフの場合、機能を高めるとそれが難しくなるのである。

 

また28mm/F5.6/1mでの撮影、ボケ味も崩れはなく収差は概ね取れているのだろう。拡大してもピントは良い(今日も風が強くブレも見られる)し、フルフレームレンズとしては見かけ上のピント深度は深い。

逆光撮影(F8)…これは古さを感じさせて、それなりにゴースト・フレアが見えてくる。しかしこれも画面左上に太陽を入れた無理な撮影であり、フード(HB-20)を取り付けて普通に撮る分には問題はない範囲である。

最新のAPSボディ・レンズで撮影するより、2000-3000万画素程度のフルフレーム一眼レフにこれらのレンズを付けて撮ることを推奨する…もちろん最新のレンズを付けるにこしたことはないが、単焦点レンズは1980年代に、ズームレンズは1990年代にほとんど完成していて、現在の進歩は大口径化・逆光耐性・手振れ防止・高画素化に対応して極限の解像力を追求しているように思われる。いずれにしてもNikonCanonのフィルム時代末期のキットズームの実験はこれにて終了=全部で2社合わせて20本程度を集めた(大袈裟なようだが金額にすると全部で7~8万円)、その全部を紹介していないのは残念だが、大筋のことは書いたつもりである。またテストではなく実撮影で見て行きたい。