ふたつの結界

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下の墓地から山を上がる…どうやら中腹にも墓地があるようだ。途中に掃除や献花用の簡易水道があり、その前に竹を倒して結界があった。これは立入禁止のためではない、故人の魂が下りてこられないように竹という神性のある材で阻んでいるのである。古来より故人・先祖の魂は敬うべきものであると同時に畏れをいだくもので、お盆に先祖の魂が帰ってきて、最後の日に冥界へ送り返すのも同様の観念であろう。精霊流しを思い出して欲しい。

坂を上りきるともうひとつの埋め墓があり、ここにも青竹(つまり最近)の結界があった。回りは鬱蒼とした雑木林と竹林に囲まれている。先祖の魂を守る精霊達の声が聞こえるようで、頭の中で鎮魂を唱えつつここで引き返すことにした。

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