海徳寺

対岸の加茂神社から見ると法照寺と隣どうしになっているように思われたが、やはり直接は行けず、曲がりくねった坂を上り下りして、ようやく次のお寺「海徳寺」に着いた。ちょうど若僧子が何の合図か小さな鐘を敲いていた。ここの境内は広く本堂の軒も深いため、当然に休憩である。

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境内から海がよく見えて本土側の険しい地形も分かる…晴れていれば絶景かも知れない。ここも真言宗のようである。

保戸島

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法照寺

民家が建て込んだ「道なき道」を登ったり下ったりしながら進む…視野が狭いのでどこをどう歩けば合理的なのか分からない。道はまっすぐついている訳ではない。

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そしてようやく対岸の第一番の寺「法照寺」に着いた…お大師さんが立っているので真言宗だろう。寺とて民家と同じで多少広くはなっているものの境内を道が通り抜けている。雨はいっこうにおさまらず傘を差しながら狭い階段の上り下りで疲労がたまってくる(もちろん写真を撮りつつ)。敷地の狭さ故、どこでも軒が小さく、ゆっくり雨宿りできる場所がないのである。

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崖道を歩く

下に掲出した家を下から見上げた。間違いなく家より3倍程度のお金がかかった基礎である。擁壁は個々の家や行政が年度も方法もバラバラに実施したもので、造りが違っているのと何もない場所とがあり、おおいに危ない景色となる。

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聞き取りによると(初めて島の人に会った)ここでは元々は左の階段を上り敷地内を通って向こう側へ行ったらしい。その後擁壁が行政によって整備されて、その上が通り道になったらしいが狭すぎて蟹歩きをしないと通り抜けられない。今でも荷物などを持っていると左の道を通っているとのことである=したがって門も仕切もない。おおむねこのあたりが集落の上辺だ。

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村の中へ

神社の境内から崖沿いに高台を歩く=かなり道は狭く、手すりもあったりなかったり…落ちたら大けが間違いない。目前に怖い場所に建つ家を発見した。小屋のように見えるが一階にドアホンもあり確かに人が住んでいる。

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そして道は幾つにも分かれていて、港に直接下りる道は人がすれちがえない狭さの急坂だ。道の真ん中に立っているのは「急傾斜地崩壊危険区域」の標識である。通行止ではないため、それでも人は通っている形跡がある。

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加茂神社

雨宿りを兼ねて加茂神社で一休み...狭い階段を登ると島にしては広い境内となっている。拝殿の階段に座って昼食を摂った。

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拝殿内に入ると水蒸気でレンズが曇る。社殿はきれいに整頓されて、島民の信仰を集めていることが分かる。しばしの時間ここで休憩をした。休憩は島歩きでは時間が貴重なので(船便の少なさ)だいたい10分程度(その代わり1時間に一回は休む)、昼食と言っても本土で買ってきたパンなどである。

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集落・港を遠望

かなり高くまであがり集落の西側の加茂神社の鳥居前から町を見る…なるほど低い場所ほど家は新しく、上ほど昔の家が多い。寺の裏は広い墓地である…島ではお墓がどんどん増えるが土地は限られているために斜面や海岸沿いに広がっていく。

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港の方向を見ると、やはり土地が少ないせいで隣の小島とつながった埋め立て地(やや危険)にまで家や水産加工場が建っている。今回は残念ながら雨が激しかったため全島は見られなかった(旧の集落のみ)…来年行くことになっているので、今度は旧地区の両側に広がる新地区まで行きたい。繁栄している島の現状を知りたいのである。

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観光協会のマップを引用する…中央の固まりが旧集落、左右に長く伸びているのが新集落、面積でいうなら新が倍ぐらいあるということになる。

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台風

今年の夏は地震・大雨・台風と自然災害(地球温暖化と関係あるなら自然災害と割り切れない...)が続いた。我が町は災害に非常に強い社会資本整備がなされている特別な地域なので、まったく被害はないと言ってよい…しかし他地方においては甚大な被害が出ており、民俗学をあつかう筆者にとっても伝統的な生活や文化財に危機がおよぶことに憂慮している。なにかできることはないか…一時的に風雨の収まったきのうの夕方の写真。このあと再び大雨となった。

LUMIX GF-1 + BCL9mmF8 fisheye

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そし今日の夕暮れ…山間部のために6時頃に日は沈む。秋の空になってきたようだ(しかし日中は蒸し暑い)。

Nikon D700 + NIKKOR 24-120mmF3.5-5.6D = このレンズは中古店の隅に置かれて見向きされてもいなかったものだが(大きなレンズの陰に置かれてあった)大当たりのレンズで、NIKKOR 24-120mmGレンズはもちろん、NIKKOR 24-85mmGよりも良い絵を出す。レンズの個体差はまだまだあるように思われる。

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水道

島ではもっとも大切な資源「水」の配管…もちろん簡易水道だが、厳重に取り扱われている。このバルブは火事が起こったときに使われるためのものだろう。

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更に高いところへきて、そろそろ集落の上限も近い港の見える場所。ここから集落の山側の縁を歩いて今見えている港のあたりへ行くつもりだ。つまり集落の中はどこもほとんど同じ景色で、かつ狭すぎて引きがないためである。そして周辺部に寺社や学校、文化施設などがあることが覆いのである。

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更に登る

狭い坂道を上る…何度も改修された跡が不思議な景観を作っている。古い石垣は積み直され、洗い場が何かの跡に乗せられている。そして雨水溝が埋められたのは確かだが、なぜか蓋が斜めにカットされている。こういうものを記録に取ることはとても重要で、今は何か分からなくても記録しておくと後世の人も含めていずれ分かるものなのである。

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だいぶ高くなってきた。各々の家は比較的新しい…むこうに保戸島の檀家寺である海徳寺が見えている。島では宗教施設も高いところにある傾向が強い…神聖な場所に立地するだけでなく、少ない面積の平地は住むべきところだからだと思われる。

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急坂

島なのでとうぜんプロパンガスなのだが、その倉庫も狭い路地のはずれにあり出し入れは不便そうだ。「立入禁止」…もちろんのことだ、しかしよく見ると鍵はかかっていない。これも島ならではのことだろう。

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いよいよ急坂を登って集落の山側へ行く…これを見ても分かるように歩くのすら危険がともない、ここを荷物を持って1日に何度も上り下りするには丈夫な足腰が必要である。特別な場所を写した訳ではなく、集落のどこでも同じ景色である。それが関係してか上の方には民家はあっても人口は少ない。

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