風穴へ

そろそろ河内風穴から出よう。試しにストロボを焚くと目には見えないが空気中には霧状の水滴が漂っているようでストロボの光を散光する。

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もとの広間へ戻る...上と同じ場所だがノンシンクロだと透明に見えている。左上の小さな穴が外との出入口である。写っているのは同行の友人たちである。

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「とおしあい」

福井県おおい町大島地区の民俗行事「とおしあい」に今年も来賓として9回目の参加をした。「とおしあい」とは地区に古くから伝わるマルキブネを使った競漕祭りで、100年ほど前にいったん途切れたが19年前に復活して、途中から日本の丸木船(刳船)研究者である筆者らが参加して学術的な解説や映像記録をしてきたのである。年に1回の訪問だが9年も経つとすっかり地元の人と顔見知りになり、よそ者の一研究者(写真家)である私を親しく迎えてくれる…感謝せねばならない。現在は地元の小学生の郷土教育にも最大限活用され、観光化は一切されていないがムラ祭りの根元を見ているような感覚である。

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複材刳船である「マルキブネ」による競漕。船は競漕のために造ったものではなく、昔から漁業や運搬船として使ってきたホンモノを改修・修理して蘇らせた船である。痛まないように塗装しているが中は完全な木造船で船材の主たる部分はスギの木を刳りぬいて組み立てたために「マルキブネ」と呼ばれてきた。同じ型の船を舞鶴付近では「トモウチ」、宮津丹後半島では「トモブト」と呼ぶ。分布は丹後半島の袖志から若狭・小浜市の内外海半島西部までと昔からなっていて、筆者は35年間見続けてきた(もちろん全国の刳船も含めて)。

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使われる櫓も特殊な「鵜の首櫓」で漕ぎ方も普通の伝馬船とはまったく異なる。もう使われなくなって久しく、手慣れた漕ぎ手も高齢化しつつあり、このような行事を通じて次世代に僅かながらでも伝承されていることも記しておく。

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機材はCanon 6D+Canon EF24-105mmF3.5-5.6を用意していたのだが、あまりの暑さで、急遽LUMIX GX8+G VARIO12-60mm F3.5-5.6に変更した=まだLeica DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0は評価が定まっていないため(いいのに決まっているにもかかわらず)今回のように外せない撮影にはまだ使えない。リスク回避を最も重視せねばならないのである。

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サブカメラ(やはり落とせない撮影には必要=過去3回出先でカメラが故障した経験がある)として自分の持つm4/3ボディとしては一番小型のこれを持っていった(レンズも最小型=3回のうちレンズの故障が2回であった…MF時代にはなかったがレンズのモーターが不調になったことが1回、レンズバリアが開かなくなったことが1回)。しかしLUMIX GX8は無事にシゴトを終えたので使うことはなく済んだ。

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風穴に戻る

別の洞窟の枝道へ…ここもだんだん狭くなり最後は進めなくなる。ゴロゴロしている岩は長年の間に上から崩落してきたものらしく、地震などが起こると危険な場所と言えよう(穴が塞がり出入りできなくなる)。

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人工照明の岩を逆光で撮ると光のあたっている場所の植物の姿がよく見える…昨年より確実に成長している。比較物がないので分かりにくいが一番大きな草で(シダではなさそう)高さは50cmぐらいありそうである。

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如来堂

今日は近所に散歩…以前にとりあげた乱開発のその後。夏草の生い茂るなか土木工事はあまり進んでいない。おそらく分譲地の買い手が付かないのだろう。しかし如来堂の基礎の部分まで土地の浸食が始まり、お堂が危険な状態である。

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先日来の豪雨や台風によりむき出しの崖の土砂が流れているのだ。どうして擁壁工事をしないのだろう。こんな状態が続けば如来堂直下の民家も危ないように思うのだが…OLYMPUS E-30+ZUIKO 11-22mmF2.8-3.5で初めて屋外撮影、晴天下でのAWBがやや緑色に傾く=ここでは少しの補正をしたがボディ側の補正も必要だ。

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洞内の奥へ

奥へ進むと垂直の縦坑へたどり着く(このような枝坑がたくさんある)。真ん中の明るいのは外の光ではなく蛍光灯で、本来の洞窟内の色はこんな感じだ=白っぽい岩は石灰岩。このハシゴはかなり危ない…垂直に近いだけではなく踏み段も手すりも常に濡れていて、そこに菌類が繁殖しているらしく滑りやすくなっている。足で上がるというより腕力で体を押し上げるように登るのが良いだろう。縮尺がわかりにくいが、ハシゴの最上段の上の岩は大人が立つと頭がつかえる程度(もちろん危険)。下りは前は向けないので登ったときと同じ姿勢でゆっくり降りることだ(上りと違って踏み段は見えない)。よく見ると蛍光灯の光の周りにも苔や粘菌らしい生物が繁殖しているのが分かる。

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縦坑を上がると横坑となり、その先は立ち入り禁止となっている(入れないほど狭いのではなく一般の人には危険なだけで、研究のための許可を取れば入れる)。奥からは微風と水が出てきている。ここから何キロも続くのだが、いまだ全体像は解明されていない。風がかなり吹くのでどこかに抜けていることは間違いないだろう。

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風穴へ入る

風穴の入り口は極端に狭く、子供でもかがまないと入れない。反対に洞内を吹く風がここで絞られるために風速を増して周辺に吹き出していることになる。一番狭い場所では帽子が飛ばされそうな風速・風量となる。

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10m程度狭い道を進むと大きな空間に出る。公式には鍾乳洞となっているが鍾乳石は見られず、岩質も石灰岩だけではなく火成岩(玄武岩に見えた)らしい岩も多く見られた。ここから四方に細い洞窟が分かれていく…大部分は狭く危険なため進入できない。人工の赤い照明で歩くのには不自由ではないし、高感度に強くなった今のデジタルカメラではフラッシュなしでも充分撮影可能だ。昨年も指摘したが照明の下では光合成を行う緑の植物が生えていて昨年より勢いを増していた。このホールの地下には川が流れていて轟々と水音が聞こえる。5-6年前初めて来たときは雨の後だったため、地下から水があふれて洞窟内に細かな水滴となって立ち登り、写真がきれいに撮れなかった経験がある。この地下の川が外の崖に湧き水となって渓流にそそいでいるのである。

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階段

登りにかかると、すぐに真新しい鉄の階段ができていた(昨年来た時は工事も始まっていなかった)…去年までは右に手すりの見えている、かなりガレた石段を登ったのである。時間が半分に短縮されただけではなく、これなら足腰の弱い人でも問題ないだろう=ただし鉄なので雨の日は要注意。来る道々でも道路や河川の改修工事がなされていた…多賀大社と共に町では人気のある観光スポットなので役場も熱心なのだろう。

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風穴の入り口までは階段を付けず、ほんの少しだけ手前から旧の山道を歩く…ここが当を得ている=写真の人が曲がる場所までは平地より涼しいと言っても30℃を軽く越えているのだが、道を曲がったポイントで風穴から強く吹く12-13℃の風で洞窟に入る前に気温が15℃ぐらいに一気に下がるのである。昨年と同様ここで岩に腰掛けてしばし休息。周りの景色もここで撮影しておかないと洞窟から出てからではレンズが曇ってしまい撮ることはできない。

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山へ入る。

八幡様の向かいには鬱蒼とした檜の森を背後に「山の大神」の碑がある。碑文を読むと近在の犬上地区にあった神木の大ケヤキ(樹齢800年)が道路の拡張のため伐採され、ここに碑を建てたとある。

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山へ入ると100mほど歩いただけで芹川の支流に出る。ヒノキ林(とうぜん植林)は終わり雑木林となる。ここから上には集落も観光施設も植林帯もないため流れてくる清流は非常に豊富で美しい。気温も100mで2-3℃は下がっただろう。暗いヒノキ林ではなく広葉樹が多いため光が緑色になる。

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追補

あまり居ないと思いますが「ブログ」サイトから入った人のために私の本編サイトを掲出します=最近はよりアップの簡単なブログ更新が多くなったので。サイトは1999/12-現在まで継続しています(そろそろ止めようかと思っているうちに18年たちました)。

フィールドカメラマンノート

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河内風穴への旅

河内風穴(多賀町)洞窟

さて夏は洞窟だ…昨年に続いて滋賀県の河内風穴に行った(通算3度目)。多賀大社の奥山の小さな集落にある。今や人気スポットで夏休みや休日は車が止められない混雑である(と言うわけで平日に行く)。なにしろ洞窟の常として年中洞内は12-15℃で外の35℃(山奥なのでやや低いが平地では38℃だった)との寒暖差や静かさ、洞窟までの渓流や森林の美しさ…極端に不便な場所ではないこともあって年々観光客が増えている。まずは山の麓に料金所がある(料金は駐車場も含めて地区の人達の管理)。洞窟へはここから森林を歩いて山の中腹まで行くのである。

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料金所のすぐ右に八幡神社があり、とりあえず安全祈願と山への崇敬のために参拝した。社殿は大きくもなく質素なものだが一応拝殿と本殿に分かれている。中央の照明はLEDに換えられているらしく、まるで神様がいるように輝いていた。では入山する。

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カメラは先にも掲示したがLUMIX GX7+ZUIKO 12mmF2である。洞窟は狭いので小型ボディとワイドレンズがいいのである。

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