海住山寺-2

境内を奥へ進めば、緑の林の中にモチツツジの花が見たこともないぐらいに見事に咲いていた。山に生えていた木を大事に世話をして、ここまでになったのだろう。もともと植樹するような木ではない。

何年もかけて山に植樹をしたり、山の自然な植生を守ったりしながら境内の手入れをしているのである。ここでユリの球根を植えていた職員(檀家の人かも知れない)の人とも寺や土地の歴史や文化などの色々な話をした。どうも「森林の寺」を指向しているように思われる。それほど深い森に囲まれているのである。

展望台(海抜200m)、と言っても今のところこの一角しか展望はない。眼下に恭仁京国分寺跡、恵比須神社、木津川、そして鹿背山とその山塊、向こうに奈良の市街地や平城宮跡が霞み、遠くに葛城山系が眺められる。ここに座ると天平時代の人々の眺めた景色への価値観が分かるような気がする。

2時間ばかり歩いたので、そろそろ下山することにした。銀色に輝く新しい本堂の瓦が新緑をより映えさせているようだ。