両墓制

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紹介するのが遅れたが、さる5/21に浄瑠璃寺を訪れた帰り道で石仏群(国の史跡指定)に立ち寄った。古すぎて石仏は元の姿が分からないぐらい摩滅していた。このような場所(石仏や墓石、磨崖仏)がこの山塊には点在している。平城京の鬼門を守ったという説が有力である。

そして、ふと石仏の後ろへ回ってみて驚きの発見があった。いまだに埋め墓の風習が残っていた(いちばん新しいのはこれで、今年の三月に埋められている=もう土葬ではなく、火葬後のお骨が埋められていると思われる)。両墓制(りょうぼせい)と呼ばれる古来からの習俗である。筆者は瀬戸内の離島で何ヶ所か現在も続いている例を見てきたが、こんな近くで遺風が残っているとは想像もしていなかった。やはり歩くものだ。

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道路から見た絵、右の石仏群の裏に埋め墓群があり、左側が詣り墓である。その境界はハッキリとしている。土地の狭い離島に両墓制が残っているのは理解できることだが、山林とは言えども広い土地のある場所に残っているのは、死後世界の宗教観が強く意識されているに違いがない。

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