流転の中判カメラ2

その後、マミヤプレス6X9を経て、1976年、今はなき「コーワ スーパー66」に買い換えた。これは新品で55mm.85mm.150mm付で購入(この組み合わせ+アクセサリーでハッセルブラッド500CMなら当時150万円ぐらいしていた)。フィルムマガジン交換式で、このカメラの最終型である。当時国産の中判の一眼レフカメラハッセルブラッドを目標として開発をしていたが、本質的にプロまたはマニア用なので採算ベースに乗りにくいらしく選択肢も少なかった。コーワになったのは唐突な結論のようだがこれには理由がある。勿論、ハッセルは買えないので、国産の新品で考えた。レンズ交換式でマガジンも交換できる物となると当時「ブロニカ6X6」と「コーワ6」「マミヤRB67」しかなく、外回りの写真を多く撮る私としてはマミヤRB67は重く取り扱いも煩雑すぎて不可。ブロニカはECの時代で(今S2を持っているが)フォーカルプレンシャツターとクイックリターンミラーの強烈なショックとストロボに全速同調しないことで不可。引き算式にコーワとなった次第である。しかし使ってみるとあらゆる可動部がごりごりとぎこちなく、音もやたらと大きなこと以外はかなり良好で、何と言ってもハッセルに似ていないデザイン(カメラ毎日に「壷のような・・・」と評してあった)や、引き蓋のないマガジン(遮光板がマガジン側に付いており引き蓋は不要)などに独自性を感じ、ハッセルとは違うのだ!と言う意識で使え、我慢カメラではない事がなにより気に入った。数年後、コーワがカメラ事業から撤退し、部品供給やメンテナンスもままなくなることが予想され、やむなく手放した事を後悔していた。 ところが5年ほど前に何と!スーパー66のデッドストック品がある店で見つかり即座に購入…新品である=筆者も実地では使っていない=クランクに保護用のシールが貼ってあり、これが日本語なので輸出向け製品の里帰りではない。どこかのカメラ店の倉庫に眠っていたのだろう。元箱はもちろん純正フードや専用金具付きのネックストラップも新品のまま付いていた(この金具付きでないと吊れない=簡単だが極めて重要な部品)。テストだけはして完動品なのも分かっている。

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現在はオリジナル・コーワ6とミラーアップができる6MM、スーパー66を所有している…懐かしいコマーシャルカメラマン時代の機材である。

興和のカメラ