「とおしあい」

福井県おおい町大島地区の民俗行事「とおしあい」に今年も来賓として9回目の参加をした。「とおしあい」とは地区に古くから伝わるマルキブネを使った競漕祭りで、100年ほど前にいったん途切れたが19年前に復活して、途中から日本の丸木船(刳船)研究者である筆者らが参加して学術的な解説や映像記録をしてきたのである。年に1回の訪問だが9年も経つとすっかり地元の人と顔見知りになり、よそ者の一研究者(写真家)である私を親しく迎えてくれる…感謝せねばならない。現在は地元の小学生の郷土教育にも最大限活用され、観光化は一切されていないがムラ祭りの根元を見ているような感覚である。

f:id:xnagy:20180821175404j:plain

複材刳船である「マルキブネ」による競漕。船は競漕のために造ったものではなく、昔から漁業や運搬船として使ってきたホンモノを改修・修理して蘇らせた船である。痛まないように塗装しているが中は完全な木造船で潜在の主たる部分はスギの木を刳りぬいて組み立てたために「マルキブネ」と呼ばれてきた。同じ型の船を舞鶴付近では「トモウチ」、宮津丹後半島では「トモブト」と呼ぶ。分布は丹後半島の袖志から若狭・小浜市の内外海半島西部までと昔からなっていて、筆者は35年間見続けてきた(もちろん全国の刳船も含めて)。

f:id:xnagy:20180821175422j:plain

使われる櫓も特殊な「鵜の首櫓」で漕ぎ方も普通の伝馬船とはまったく異なる。もう使われなくなって久しく、手慣れた漕ぎ手も高齢化しつつあり、このような行事を通じて次世代に僅かながらでも伝承されていることも記しておく。

f:id:xnagy:20180821175436j:plain

機材はCanon 6D+Canon EF24-105mmF3.5-5.6を用意していたのだが、あまりの暑さで、急遽LUMIX GX8+G VARIO12-60mm F3.5-5.6に変更した=まだLeica DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0は評価が定まっていないため(いいのに決まっているにもかかわらず)今回のように外せない撮影にはまだ使えない。リスク回避を最も重視せねばならないのである。

f:id:xnagy:20180723174118j:plain

サブカメラ(やはり落とせない撮影には必要=過去3回出先でカメラが故障した経験がある)として自分の持つm4/3ボディとしては一番小型のこれを持っていった(レンズも最小型=3回のうちレンズの故障が2回であった…MF時代にはなかったがレンズのモーターが不調になったことが1回、レンズバリアが開かなくなったことが1回)。しかしLUMIX GX8は無事にシゴトを終えたので使うことはなく済んだ。

f:id:xnagy:20180826201641j:plain