レンズの妖精 / NIKKOR 24mmF2.8D

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先日ふと思い立ってNIKKOR 24mmF2.8Dのテストをしてみようと保管庫を探したが「無い」(^_^;) ときどきレンズがどこにあるのか分からなくなる(保管庫は12台あるので、概ねメーカー別、種類別にまとめている)ことがあり、探し回ることがある…いつも翌々日あたりにひょこっと見つかる。それが意外な場所ではなく、あるべき場所にだ…今回も前々日に調べ上げたNikon箱の一等地にちょこんとあったではないか=きっとアトリエに住んでいるレンズの妖精がイタズラで隠して、1-2日して元に戻したに違いないと思っている。時々視界の端に白や黒のチラリとした影が見えるのもその妖精の仕業だろう(飛蚊症ではない)。

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そこで昨日テスト…F5.6/D750で撮影、今持っているNikonボディではDf/D750がソフト・ハードと色々な面で優れているように思う。レンズはさすがに単焦点、とてもキチンと写り、破綻は少しも感じられない…以前にも書いたように単焦点レンズ(20/24/28/35/50/60mmMICRO)のうち日常的に必要なものは新品Dレンズで揃えている…ナノクリGレンズが出てきたときに28mmをDレンズと比べてみたら、ほとんど変わらない結果であったので、より軽いレンズで揃えたのである。その中でも特に24mm/60mmは出来がよい。

逆光でもこのとおり非常に安定しており、フレア・ゴーストは最小限で画質の低下も見られない。このところ便利なズームレンズばかり見てきたが現場では単焦点を使うことも(ワイド)多いのである。ボディモーターのために賑やかなことは否めない…。

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SIGMA 24-105mmF4/art

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夕刻、空が晴れたので「最新」のFマウントレンズを試してみた。ボディはD800...このボディにはSIGMA 24-105mmF4/artが付けっぱなしなのである=ボディがレンズ負けしないように。付け加えると優秀レンズであるNIKKOR 24-120mmF3.5-5.6DはD700に付けっぱなしである。これもレンズ:ボディのバランスを考えてのことで、多くの場合レンズ交換をするのはD610&D750&Dfである。

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24mmF6.3での近接撮影、相変わらずシャープネスは文句なし・ボケ味も良好だが、この程度の像高で背景の電柱が歪曲をしているのは感心しない…もちろん近接しているからで、電柱にピントを合わせるとこれ程には曲がらない。いずれにせよSIGMAの設計思想は「ピント」なのでD800の高画素も生かせるし、レンズのスタビライザーもかなり強力だし、合焦速はやや遅いがD800の使い方と特性(機構ブレ)を考えると、この組み合わせがベストということになる(約2kg)。じっくり撮ることだ。機構ブレについては手ブレや被写体ブレと違ってシャッター速が速ければ良いというものではなくて、シャッターの切れるときのシャッター/ミラーの動く振動の少ない部分を探らなければいけない=当然、使い方も関係していて筆者の場合、戸外日中での撮影となるために1/125-1/500の範囲で選ぶことになる…現在は1/320付近にしているが正解は不明(高速シャッターは機構ブレしやすいと思う)。

同じ組み合わせでの逆光テスト(24mmF7.1)…悪くはないが抜群というほどではない。ここでもSIGMAの「ピント」優先スタイルを見てとれる…このレンズ以外にもArtレンズを他のマウントで持っているが、シャープネスは純正を上回っているものも多いとしても、逆光では劣後しているものがある=コーティングの問題か、レンズの曲率や鏡胴内の反射対策なのかは分からないが注意は必要である。

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岩船寺:アジサイ二景

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趣味のレンズテストを終えて、また岩船寺に戻ろう。4.5月と訪れた山門脇の重文:五輪塔とこれを囲むアジサイ(やはりこういうものの回りは在来種だ)…この写真では分かりにくいがCanon EF20-35mm/F3.5-4.5は強烈なピントが来る…ここでは20mmF3.5開放/6D。五輪塔の石が梅雨に濡れて、古拙の味がより出ている。

こちらは重文:三重塔の正面から35mmF4.5開放で撮影。手前が在来種、右側が栽培品種で華やかさが増している。何回来ても違った趣がある。まだアジサイは咲いていると思われるので、シーズン最後に立ち寄ってもいいと思っている。

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これは良い選択の買い物であった…17-40mmF4Lより使いやすい。

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Nikkor 28-105mm/F3.5-4.5D

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今日はAi AF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)の簡単テストである。2002年発売のレンズなので必ずしもフィルムカメラ用とまでは言い切れないが、基本的にはフィルム時代最終期の少し高級なレンズだと思われる。16枚構成とCanon EF28-105mm/F3.5-4.5 USMと同様に少し望遠側を伸ばすために多くのレンズを必要とした(大きく重くなり、デザインも現行品に近くなっている)。フードは純正、望遠側での遮光効果を少しでも上げるために大袈裟なものである。

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上下いずれも28mmF5.6/Dfでの撮影である。より細密なテストでも同様の結果ではあるが、F5.6の中心部付近ではNIKKOR 28-80mm/F3.5-5.6Dなどよりもシャープ感はない(コントラストが低いと思われる)。しかし実写ではよくまとまっていて絞りによる絵の変化は少なく(周辺減光や像の崩れ)よく調整されている印象だ。

逆光ではコーティングの改良で、レンズ構成枚数が多いにも関わらず、これより古いレンズより随分改善されている。

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Canon EF28-90mm/F4-5.6 USM

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今日は一昨日のCanon EF28-90mm/F4-5.6 IIIの最初の型EF28-90mm F4-5.6 USM を試してみた(2000年発売)。似たような造りに見えるが、新しいレンズはDCモーターで、より古い1stモデルはUSMでAFは速くて静粛である。これに限らずキットレンズはどれもコストを抑えるため、各部がほとんど樹脂製でズームリングはガサガサと動き品質感は低い。当時はCanonNikonPENTAX.minolta...etcの多くのメーカーがしのぎを削っていたのである。しかしその競争によってズームレンズの開発は進み、それ以前より性能は急速に良くなったと言えるだろう。

f:id:xnagy:20200625193212g:plainメーカーサイトの説明は違っていて(時々あることだ=なにしろ28-90mmだけでも4種類ある)球面レンズだけのレンズ構成となっている。時代を反映してエコガラスのみの使用と謳われている。

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28mmF6.3/6D撮影(薄曇り)...III型に比べると絞り開放だと周辺光量・画質が落ちて、これぐらい絞らないと追いつかない(F8-11なら、なお良好)。しかし絞ると立体感のある良い絵が得られる。中央部は開放から問題ない。50mm/90mmでも同様の傾向でF8にはしたい。

逆光テスト…Canon EF28-90mm/F4-5.6 IIIに比べるとゴーストは似たようなものだが、ややフレアっぽくなる(28mm/F9)。

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NIKKOR 28-80mm/F3.5-5.6D

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Fマウントレンズ製品一覧 (旧製品) | NIKKORレンズ | ニコンイメージングにも載っていないNIKKOR 28-80mm/F3.5-5.6Dを試してみよう。これも8枚玉で(同じ型番で7枚玉もある=Nikonはややこしい)、このクラスのズームとしてはレンズ構成枚数が少ない。AF Zoom Nikkor 28-80mm F3.3-5.6G (6枚玉)と同様にヌケの良さを狙った設計だったのだろう。フードは純正品HB-20が手に入らなかったために、その辺に転がっていた無印ワイド用メタルフードである。非常に安価なキットズームだけにズームリングの動きはガサガサとして、ボディモーターでの合焦作動音もジーコジーコと賑やかだが写りだけではなくAFも問題なしで、このレンズも軽くて携行には便利だと思う。

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夕刻の半日陰での28mm/F5.6撮影(ボディはNikon Df)かなりキレイに写る…F5.6では像の崩れはないものの周辺光量が少し落ち、F7.1程度に絞ると解消する。NIKKOR 28-80mm/F3.3-5.6Gとは甲乙付けがたい性能である。ボケ味はこちらが軟らかい。

逆光性能(28mm/F5.6撮影)もほとんどNIKKOR 28-80mm/F3.3-5.6Gと同じで、多少ゴーストが出るとしても6枚玉と同様、設計意図は感じられてヌケは良い。昨日のCanon EF28-90mm/F4-5.6 IIIと異なり丸絞りである。

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Canon EF28-90mm/F4-5.6 III

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今日はEF28-90mm F4-5.6 III の実写だ...Canon EOS Kiss 7(もちろんヒット商品フィルムカメラ)のキットズームで単品販売はしていない。もっとも安価な部類のレンズで、もし実売していたら定価25,000円ぐらいだろう=2004年発売のデッドストック新品。190gと軽い…今回試したレンズではCanon EF20-35mm/F3.5-4.5とこれがオススメだろう(どれも実用範囲だが)。

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まずは晴天下での28mm/F9での近接撮影…比較的新しいレンズで、やはり破綻はない。絞り開放F4から使えるレンズである。

逆光での28mm/F9撮影…絞り羽根が5枚なのはよく分かる。昨日のCanon EF28-105mm/F3.5-4.5に比べるとゴーストがハッキリと出るようだ。しかし像としては申し分ない。

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Canon EF28-105mm/F3.5-4.5 USM

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さてフィルムEFズームの最後にEF28-105mm F3.5-4.5 USM を採り上げよう。1992年当時の上級レンズだが数が多いためかCanon EF28-80mm/F3.5-5.6 IVなどよりAクラス中古品としては安い(これは3740円)。レンズ構成は28-80/28-90mm(10枚)に比べて15枚と少し望遠側を伸ばすのに苦労していることが分かる…しかしどうした訳か、すでに確立したはずのガラスモールド非球面レンズが使われていない。大きさ重さも増えている。このレンズはその昔、少しの期間に筆者が初代EOS-1で使っていたレンズでもある。AFはUSM採用ということで現在のレンズと同等の速度・静音性である。

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描写はやはり軟質だがシッカリとしている(28mm/F5.6近接撮影)。Canon EF24-85mmF3.5-4.5にも同様のことが言えるが、絞り開放F3.5では中央は上等だがごく周辺に緩みと光量落ちがある=これはF5.6に絞ればほぼ解消され、あとは他の旧レンズと同じように安定した像を得られる。そして50mm/105mmでもやはり1段は絞らないと(つまりF5.6+α)周辺は多少怪しい…しかしこれは厳密テストの結果であって、上の写真のとおり実写ではほとんど分からないレベルである。

下は完全逆光の写真(28mm/F8、太陽は左上画面内)だが、レンズ枚数の多さの割りには、薄く大きなゴーストがひとつ出ているもののフレアは少なく、SSCコーティングの良さが了解できる結果である。

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岩船寺のアジサイ

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山門へ…県外移動の自粛解除初日、アジサイの季節と重なって、やはり観光客はアマチュアカメラマンが半数以上を占めていた。人はまだ少ないが、私が来てから1時間半ぐらいして(pm2:30)多くの人が来た。皆、三脚を立てるので(今回は4-5名が境内の一角を占拠)通行にも、そして場所を占有するため、参拝者には迷惑である(なぜ手持ちで撮らないのか不思議?=私の写真ワークショップでは寺社では三脚禁止としている)。住職も「せめてご本尊にお詣りしてから...」と嘆くことである。私はお寺に行くと、まず本堂に入り(大きな寺では別のお堂の場合もある)本尊前で10-15分座って精神を休めてから撮影に入ることにしている。そして時間があれば撮影終了後に立ち寄ってから山門を出るのである。

重文:不動明王堂横のアジサイ…各種のアジサイが満開である。奥の塔の付近だけがこれからといったところだ。Canon EF20-35mm/F3.5-4.5…非常にコントラストが高いが、やや暗めに写る傾向がある(フィルム時代のポジに合わせた設定か?)。

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今日の岩船寺

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雨の予報だったが、昼ごろ空を見ると明るくなり、雨もあがっていたので4月/5月に続いて岩船寺へ行ってみた(気温21℃)…自宅から30分で着くため、降ってきたら帰ればいいだけのことなのである。雨上がりの風情もいいものなので…特に梅雨時のアジサイは。まずは山門を入ってすぐ左の重文:五輪塔へ。ここはアジサイ寺として著名で、栽培品種も多く在来種と共に過度に人工的な庭園風にならないように大事に育てられている。平日だが人出はボチボチ増えている(2時間の滞在で4/5月は数人、今回は20名ぐらい)今日から県をまたぐ移動も解禁となったらしく県外からの車も多く見られた。

本堂の縁側から弁天池と重文:三重塔を望む…小雨が降ったり止んだりで、大きな木の下や各お堂の軒下に避難すれば傘なしでも濡れるようなことはない。アジサイは九分咲きといったところで、池の蓮はちらほら咲いている程度である。来週初めに天候と時刻が合えばまた行ってみることにしている。

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どちらも22mmF3.5(絞り開放)で撮影…ボディはCanon 6D、レンズはEF20-35mm F3.5-4.5 USM で、レンズは2002年のリリースである。恐ろしくピントが来るしコントラストも非常に高い(AFもUSMのために速くて静か=20年近く前のものとは信じられない性能だ)。このレンズの初めてのフィールド実写だが満足できるものであった。何より古いレンズは軽いのがフィールドワークには大事なことなのである。標準系旧式ズームレンズはまだ絞れていない…テストと実写では違った結果になることも多いためだ。

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